みなさんは「ねんきん定期便」をご存知でしょうか?
「ねんきん定期便」は、その名のとおり、将来受け取る「年金額」などが記載されたハガキです。毎年、誕生月に自宅に送られます。 年金は、退職後の生活費を支える土台のような存在。年金をいくら受け取れるか、確認しておくことは、将来のライフプランを考える際に大きく役立ちます。
それでは、実際に「ねんきん定期便」を見てみましょう。
ねんきん定期便は、「50歳未満」の人と「50歳以上」の人で、記載されている内容が異なります。
図 ねんきん定期便 (50歳未満)見本
50歳未満の人は、1枚目(表)の左下のグラフと、2枚目(裏)の最下部に、「これまでの加入実績による年金額」が記載されています。
「これだけしかもらえないの?」と不安に思った人もいるかもしれません。安心してください。ここに記載されている金額は、これまで納めた保険料のみで計算された金額です。今後、保険料を納めることで、年金額は増えていきます。
年齢が若い人ほど、記載されている金額と将来受け取る金額の差が大きくなります。 50歳以上の人の「ねんきん定期便」には、「年金見込額」が記載されています。
この見込額は、現状のまま60歳まで働き続けた場合の金額です。会社を辞めたり、給与が大きく上下しない限り、記載されている受給額から大きく変わることはないでしょう。 また、ねんきん定期便は、節目となる年齢(35歳、45歳、59歳)になると、ハガキではなく「封書」で送られます。
この封書には、年金制度の加入後のすべての履歴を記載した書類が入っています。この履歴を元に、加入期間に間違いがないか、確認しておきましょう。
特に、転職や退職などで、加入している年金制度が変わっている人は、要チェックです。
より具体的に年金額をシミュレーションしたい場合は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便パシャ」といったサービスが便利です。
「ねんきんネット」は、パソコンやスマートフォンから「年金加入記録」や「年金見込額」を確認できるウェブサイトです。
細かい条件を設定して年金を試算することも可能で、たとえば、「60歳まで現在と同じ条件で年金保険料を支払い続けると、受給額はいくら…?」といったシミュレーションができます。 ねんきん定期便(裏)には、3ヶ月間有効な「ねんきんネット」のアクセスキーが記載されています。ハガキが届いたタイミングでログインしておくと良いでしょう。 ライフプランアプリの一つ「ねんきん定期便パシャ」でも、こうしたシミュレーションが可能です。
最後に、年金の受給額から、日々の暮らしをイメージしてみましょう。夫婦の場合は、夫婦2人の年金見込み額を合算してください。年金やその他の資産で、退職後の支出をまかなえそうでしょうか。
年金を増やしたい場合は、「繰り下げ受給」や「iDeCo」への加入を検討してください。繰り下げ受給では、65歳以降、受給開始を1ヶ月遅らせるごとに0.7%ずつ年金が増えます。仮に、5年間繰り下げると42%増額された年金を受け取ることができます。
もちろん、健康状態や社会情勢など不確定な要素はありますが、 何歳まで働くのか、年金の繰り下げ制度をどう利用するか、などざっくりと退職までのプランを考えてみるのもよいでしょう。
1点注意したいことは、受け取る年金が一定額以上になると、所得税や住民税を天引きされるということ。健康保険や介護保険などの社会保険料も支払う必要があります。年金からは、おおむね1〜2割程度の税や社会保険料が差し引かれる、と考えておきましょう。